週末農業日記

初めて週末農業を始めた日記です。

ジャガイモ栽培依頼キターーーーーー

【学校給食のジャガイモ栽培のご依頼】

十文字ヴィレッジ様から学校給食のジャガイモ栽培のご依頼をいただきました。

ご依頼内容は学校給食に20tは使いたいので、なるべく多く栽培してほしいとのことです。

早速、来週から本格的にジャガイモ栽培に向けて準備をしていこうと思います。

では、ジャガイモ栽培の手順とポイントを見ていきましょう。

 

ジャガイモ栽培

 

植え付け時期

ジャガイモの植え付け時期は春と秋の2回あります。

・春は3月~4月中旬くらい

・秋は8月下旬~9月くらい

春の植え付けが初心者の方には向いています。秋の植え付けの難点は

・種イモの販売期間、植え付け期間が短いこと

・暑さで種イモが腐りやすいこと

・時期により寒さでジャガイモが大きくなりにくい

などがあります。

今回は植え付け時期は少し早いですが、暖かい日を見計らって植え付けようと思います。

 

事前準備とポイント

一般的に畑で栽培する場合は、石灰を入れて土の酸度調整をします。

ですが、ジャガイモは酸性の土を好むので育てる土には石灰は入れなくて大丈夫です。

※酸度調整のために石灰を入れる場合は少なめにしましょう。入れすぎるとそうか病の原因になるおそれがあります。

植え付けの1週間前までに1平方メートルあたり堆肥2~3kg、成分が8-8-8の化成肥料や有機肥料などを100gほど施してよく耕します。

堆肥 化成肥料8-8-8



 

1.種イモの準備

種イモ



種イモは12月でも購入できますが、寒さで種イモが腐ってしまうことも多いので

初心者の方は暖かくなってくる3月に購入するといいでしょう。

4月中旬くらいまで購入できます。

品種は、男爵やメークインなど様々なものがありますが、育てやすさにはそれほどの差はないので料理を作る上での使いやすさやそれぞれのジャガイモの特徴や好みで選んでいいかと思います。

※購入の際は、春植えの品種と秋植えの品種があるので間違えないように確認しましょう。

購入する場所はスーパーなどで売られている通常のジャガイモではなく、ウイルス病を避けるためにも品質保証がされている合格証の付いた種イモを購入しましょう。

大きさの目安として1kgで20個ほどの小ぶりな種イモを選ぶと、植える際に切る必要もなくそのまま植えられます。

ジャガイモ1kg



このくらいのサイズの場合は切ってから植え付けます。

 

2. 芽出し

植え付けの2~3週間前から種イモの芽出しをします。

2週間程度、毎日朝から夕方くらいまで日なたに並べて太陽光を当てます。寒くなる夜は家などに取り込みましょう。

そうすると芽が出てきます。緑、赤、紫色の芽が出れば芽出しの完了です。

芽出しは必ずしもする必要があるわけではないですが

芽出しをする理由は、種イモをそのまま植え付けたときよりも発芽が揃うので、その後の生育がよくなるためです。

 

3.種イモを切る(※種イモが大きい場合のみ)

種イモが30~50gほどなら切らずにそのまま植え付けます。

 

大きめな50g 以上の場合は芽出し後に切りましょう。

切り方は、種イモの頂部(芽のついた部分)を中心にして1片を均等に縦方向に切断します。

各片に芽が均等につくように切りましょう。

切り終えたら、風通しのよい場所で2日程度乾燥させます。

切り口が十分乾燥してから植え付けます。長時間乾かしすぎるとしなびてしまうので注意しましょう。

※植え付け前に切り口から腐敗するのを防ぐため、切り口にじゃがいもシリカ草木灰、ハイフレッシュなどを付けると腐敗しにくくなります。

 

じゃがいもシリカ

 

4.土づくり

最も大事になる土づくりをします。

・植え付けの2、3週間前に、深さ25~30cm程度で耕うん機などがあれば耕うんして日光と空気に当てます

耕うん



※深めに耕うんする理由は、ジャガイモが土壌に茎(地下茎)を伸ばして実るので、深めに耕すことで根が伸びやすくなります。

掘り返されることで、深いところに潜む病原菌を日光で死滅させる効果も期待もできます。

 

 

苦土石灰(中性に近い硫酸カルシウムなどでも可)を撒いて耕す

1平方メートルあたり50g程度(酸度5.0以下の場合のみ)を撒きます

事前に酸度を計測しておきましょう

※そうか病の発生を抑えるため撒く量には注意しましょう。

ジャガイモはアルカリ性の土壌を嫌い、弱酸性からアルカリ性(酸度6.5以上)の土壌ではそうか病になりやすいので、石灰(カルシウム)の使用時は注意しましょう。

酸度は5.0~6.0くらいの範囲に調整しましょう。

・植え付けの2週間前に、堆肥を500g、元肥(化成肥料、窒素、リン酸、カリなど)を

それぞれ1平方メートルあたりに60g程度撒いて耕す

 

5.畝立て・植え付け

植えるための畝立て(うねだて)を作ります。

畝立ての目安は

・幅60~70cm程度

・高さ10~15cm程度

・畝の中央に深さ5cmほどの植え溝を掘る

 

ジャガイモ畝

畝立てができたらいよいよ植え付けです。

・植え付けは30cm間隔

植え付け



・2~3cmほど覆土(土をかぶせる)して、その上に化成肥料(8-8-8)を1平方メートルあたり

 100g~50g撒きます

化成肥料を撒く



※その際ジャガイモに直接つかないよう混ぜ込みはしません。

・植え付ける際に深すぎると芽が出にくくなるので、撒いた上に5cmほど覆土して植え付け完了です

撒いたら覆土



 

6.水やり

植え付け後、雨が降らない場合は水やりをします。水やりをすることで発芽が早まり収穫量が多くなります。

順調にいけば、植え付けから2~3週間後に出芽します。

 

7.追肥と土寄せ

ジャガイモを大きく育てるために追肥と土寄せ(株元に土を盛る)をします。

タイミングは、1回目は芽かきの後、2回目は花のつぼみのついた頃(1回目から2~3週間

後)が目安です。

 

ポイント

追肥・土寄せ1回目は、草丈が15cm程度に出芽が揃ってきたら、クワや耕うん機で

畝間(畝の両側)を浅く耕してから、化成肥料(カリ、油かす、草木灰、ボカシ肥などをお

好みで) 1平方メートルあたり20~30gを軽く混ぜて5~6cm程度土寄せをします。

追肥後は必ずしっかりと土寄せをしましょう。

※土寄せをすることで根張りをよくさせる効果があり、大きく育ちやすくなります。

その際に除草もしておきましょう。

種イモが地上に露出してしまい根が太陽光に当たると、緑化してしまい品質が落ちて

食べられなくなってしまいます。

そのため土寄せは忘れずにやるよう注意しましょう。

花が咲く前に葉の色が悪くなった場合は、肥料切れになっているので液体肥料などで

栄養を与えましょう。

その際に土に追肥を混ぜ込んでから土寄せすると効果的です。

※ジャガイモに肥料が直接かからないように注意しましょう。肥料焼けを起こしてしまいます。

 

緑化とは 

緑化すると、その部分(ジャガイモの芽にも)にソラニン、カコニンという天然毒素が多く含まれてしまいます。

有害なので、このようなジャガイモを食べると、吐き気、下痢、嘔吐、腹痛、めまい、頭痛などの症状が出るおそれがあります。

土寄せは、緑化させないことで品質のよい健全なジャガイモに育てるための大事な作業

です。

 

8. 芽かき

ジャガイモ栽培では芽かきをします。1つの種イモから複数の芽が出てくることが多い

ため、ジャガイモを大きくするために必要な作業です。

芽かきをすることで余計な芽を取り、残した芽に十分に栄養がいきわたります。

芽の数はジャガイモの大きさに比例して芽の数が多いと小さく、芽の数が少ないとジャガイモが大きく育ちます。

芽かきのやり方は、芽が地上部に5~10cmほど伸びた頃に生育のいい2~3本を残して

他の芽はかき取ります。2~3本残しが目安なので状況によりお好みで残しましょう。

芽かき前 芽かき後



芽かきの際は種イモを引き抜いてしまわないように、片手は必ず株をおさえて行いま

しょう。かき取る芽は横に引き抜くといいでしょう。

 

ポイント

追肥・土寄せ2回目は、1回目から約2~3週間後(草丈が30cm程度)に同じ要領でやりま

す。肥料は少なめの10~20gで行います。

※花が咲くころにジャガイモが肥大し始めます。花を咲かせたままにしておくと、養分を吸われてしまいます。気づいたら摘み取りましょう。

 

9. 病気・害虫対策

畑は、ちゃんと管理しないと畝の周囲などに雑草が生い茂ります。

雑草は害虫の温床にもなるのでこまめに抜いて管理しましょう。

雑草対策は、普通に抜いて処理をする他に、防草シートを敷く、専用の除草剤を使用するなどの方法があります。

雑草対策に適した薬剤の種類には

・液剤タイプ(茎葉処理型)  

雑草がすでに生い茂ってしまった場合に速効性があり、雑草のみを処理できて

土壌に浸透もしないので使いやすい

・粒剤タイプ(土壌処理型) 

雑草が生え始めの処理や、予防に向いています。速効性はないですが長時間の効果があります

・ハイブリットタイプ(茎葉処理・土壌処理型)

速効性と持続性の効果を併せ持っています  

 

害虫は、雑草が多い場合や暖かくなってくると発生しやすくなります。

代表的な害虫は、アブラムシ、ヨトウムシ、オオタバコガ、テントウムシダマシ(ニジュウヤホシテントウ)、センチュウ類などの害虫がいます。

害虫は葉や茎などを食害して生育障害などを引き起こすおそれがあるので、見つけたら素早く除去していきましょう。

害虫の除去の際に直接捕まえるのは苦手な方、抵抗がある方は天然成分を使用した殺虫剤もありますので準備をしておきましょう。

基本的には、葉の裏や株元(土の近く)の落ち葉の下などを毎日丁寧に観察しましょう。

卵や幼虫を見つけたらすぐに捕殺します。

 

ジャガイモの病気では

そうか病、青枯病、灰色かび病、乾腐病、黒あざ病、指斑病などの病気があります。

市場価値を損ない商品化ができなくなる深刻なものもあるので

病気による被害を防ぐために、適切な生育環境を維持するようにすることが大事です。

・日当たり、水はけ、風通しは良好か

・水やり、肥料の量は適切か

・肥料や土に問題はないか

などに注意して適切な管理を行い野菜を健康な状態に守ってあげましょう。

 

10.収穫

収穫



春植えジャガイモの収穫時期は一般的には6月ごろですが、品種、天候、植えた時期によって収穫時期が変わってきます。

生育していくと茎葉が枯れていきます。

葉枯れ



収穫のタイミングは、茎葉が7~8割程度に黄ばんで枯れてきた頃です。

収穫する時は、なるべく晴れが続いてよく土壌が乾いている日にしましょう。

湿っていないほうが腐敗の防止になります。

雨の日やまだ土壌が乾ききっていない場合の収穫は、湿った土がジャガイモに付いて腐敗しやすくなります。

もし土が湿った状態で収穫をする場合は、湿った土をちゃんと取ってから収穫後に風通しのよい場所で乾燥させましょう。

収穫方法は、ジャガイモを傷つけないように株元から少し離れたところにスコップやシャベルをさして、土ごと掘り上げて収穫します。

スコップシャベル



掘り上げた後にジャガイモが残っていないか土の中の確認をしましょう。

※収穫の際コンテナに入れる前には、ジャガイモに腐敗がないか、芽の部分に食害がないかを確認して選別しておきましょう。

収穫



 

保存方法

収穫し終えたジャガイモは1~2時間ほど掘った場所で乾燥させます。

その後は日陰でジャガイモ同士が接触しない程度に離して表面を乾燥させます。

表面が乾いたらコンテナ、網かご、ダンボールなどに入れ冷暗所で貯蔵します。

※収穫したジャガイモは長時間、日に当てないようにしましょう。天然毒素が生成され

食べられなくなるおそれがあります。

 

ジャガイモ栽培の手順は以上となります。

来週、土づくりから作業開始していきます。

事前に牛糞堆肥2トン(5000円分)は畑Aに投入済です。

 

学校給食用という責任重大なご依頼をいただいたので、いいジャガイモを食べてもらえるようにこれから精一杯頑張っていきたいと思います!!

 

 

では次回

是非、読んで頂けたら幸いです!

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